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vol.478 かつて目指していた世界、今も目指している世界!

僕がマネーセミナーで講演する際に、頭の中でイメージしている先生の話をしたいと思います。
駿台予備学校で長らく人気トップ講師に君臨するのは、英語担当の大島保彦先生(63)。
その授業スタイルは斬新で、講義の半分以上は「雑談」で占められる。
話題は哲学から経済学、社会学から科学、芸術にまで及ぶ。解答テクニックだけに頼らず、
博覧強記の大島先生だからこそ成立する授業の神髄とは。以下、『AERA』のインタビュー記事です。

*  *  *
今の授業スタイルは、最初から意図的に作ったものではありません。
予備校講師になって10年ほどで、英語の授業として私が伝えることの骨格はほぼ確立しましたが、 生徒に英語を通して「普遍的学力」をつけさせることが、私の役割なのではないかと考えるようになりました。

有名大学の英語長文は、極めて良質な「読書案内」です。
知の先端の認知科学や行動経済学から、メディア論、芸術論まで、 「ニューヨーク・タイムズ」や「エコノミスト」の書評欄で取り上げられるような文章が題材になっている。
これらの「知」はシームレスにつながっており、普遍的学力があるとグッと理解が深まります。
授業時間の多くを割いて、私が学術的な話をするのも、それで読めるようになり、解けるようになるからです。

たとえば、今年の入試では東大、京大などで「人は協力して生きていく」というテーマが出題されました。
これは人類学的な知見が背景にあります。英単語を並べ替える「語句整序」も、混沌から秩序を見いだす練習になります。
入試問題と格闘しながら試行錯誤することは、今後の人生でとても意味のあることだと、私は思っています。

授業で全ての生徒を100%満足させることはできません。授業時間50分のうち、10分間でも、それぞれなりに価値を感じてもらえばいい。
授業は、私にとっても知的好奇心を満たしてくれる場です。思考がどんどんつながり、自分の話が思いもよらずに転がっていき、 それを生徒が食いつくように聞いている時の教室は、波を打つような躍動感に満ちている。
教室全体が「ミシミシ」と音を立てるように、「知」が浸透する。その瞬間が、予備校講師として最もうれしく、興奮を味わえる。

2019.02.05 東京本社 小林 誠

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